NK/T細胞リンパ腫とは

NK/T細胞リンパ腫は悪性リンパ腫の一種で、いわゆるがんです。
これまで、進行性鼻壊疽(びかいそ)と呼ばれていました。鼻腔や口蓋(お口の中の天井部分)に発症する病気で、他の部位に転移しやすいことが特徴です。

また、NK/T細胞リンパ腫は悪化していく可能性が高いことでも知られ、4分類される進行度のうち、ステージ1やステージ2であっても5年生存率が40%を下回ります。
症状が進行していくと、顔面の皮膚欠損が起こることもあるのです。

NK/T細胞リンパ腫と症状が類似した病気として、ウェゲナー肉芽腫症があります。


NK/T細胞リンパ腫の初期症状

NK/T細胞リンパ腫の初期症状として、鼻詰まり・顔面の腫れ・鼻水に血が混じるといったことが挙げられます。
発熱することもあり、類似した症状が見られる急性副鼻腔炎と勘違いする患者さんも少なくありません。

NK/T細胞リンパ腫の原因

白血球の成分の1つにリンパ球というものがあり、このうちのTリンパ球もしくはNKリンパ球ががん化することで、NK/T細胞リンパ腫が発症します。

加齢・慢性炎症・放射線への曝露などもNK/T細胞リンパ腫の発症に関係していると考えられてきましたが、現時点ではっきりとした関連性はわかっていません。


NK/T細胞リンパ腫の検査方法

NK/T細胞リンパ腫かどうかを判断するために、鼻腔内に壊死性肉芽組織が認められるか、硬口蓋または軟口蓋に壊死性の潰瘍や欠損部位が認められるかを検査します。
お口の中の天井部分のうち、前方の硬い部位を硬口蓋、喉の方の柔らかい部位を軟口蓋と言います。

また、壊死組織と正常組織それぞれの一部を採取し、顕微鏡で観察する病理検査も実施します。
さらに、症状が類似しているウェゲナー肉芽腫症との判別のために、血液検査も実施するのが一般的です。

ご自身がNK/T細胞リンパ腫かどうかを診断してもらうためには、血液内科を受診してください。

NK/T細胞リンパ腫の治療方法

主な治療方法は、副腎皮質ステロイドを用いる薬物療法、または、放射線を当ててがん細胞を死に至らしめる放射線療法が選択されます。
薬物療法と放射線療法を併用するケースも少なくありません。

治療方法の決定には慎重な判断が必要です。
悪性リンパ腫にはいくつかのタイプがあり、さらに患者さまが該当するステージや合併症の状態なども考慮しなければなりません。
もしもNK/T細胞リンパ腫と確定しないままに抗生物質やステロイドの長期投与を行うと、病気が悪化していく可能性が高まるのです。

NK/T細胞リンパ腫は再発する?

NK/T細胞リンパ腫は、治療後に再発する恐れがあります。
再発した場合、前回と同様の治療方法を実施するか、別の治療方法を実施するかは検査によって改めて決定されます。
前回とは異なる悪性リンパ腫を患っている可能性もあるためで、再度病理検査などを実施し、どのタイプの悪性リンパ腫なのかを診断します。

まとめ

NK/T細胞リンパ腫は悪性リンパ腫の一種で、進行すると顔面の皮膚欠損などが起こります。
また、進行度がステージ1やステージ2であっても5年生存率は40%以下と、完治しにくい病気でもあるのです。

患者さん自身が急性副鼻腔炎と勘違いするケースもあり早期発見が難しいものの、鼻詰まりや鼻閉感がなかなか改善されず、さらには顔面の腫れも目立ってきたという場合には、早急に血液内科を受診することを強くおすすめします。