B細胞リンパ腫とは

B細胞リンパ腫とは悪性リンパ腫の一種で、血液がんに該当します。
B細胞(Bリンパ球)という白血球成分の1つが、がん化して増殖することにより発症する病気です。

主に首や脇などリンパ節が多い部分に腫れやしこりが現れやすく、その他にも脾臓(ひぞう)や扁桃腺といったリンパ組織に発症します。
さらには、胃・腸管・甲状腺・肺・肝臓・皮膚・骨髄・脳などのリンパ外組織に発生するケースもあるのです。

年間10万人あたり30人程度が発症しますが、初期段階では自覚症状がほとんどないため早期発見されにくい病気となっています。
B細胞リンパ腫は自然に回復するものではなく、放置すると死に至る場合もあります。

B細胞リンパ腫の原因

なぜ発症するかという点については、一部のB細胞リンパ腫においてはウイルス感染が原因と考えられます。
具体的には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)・エプスタインバールウイルス(EBV)などです。

また、細菌感染や関節リウマチなどの自己免疫疾患、免疫抑制薬の長期服用などもB細胞リンパ腫発症の原因になると考えられています。


B細胞リンパ腫の診断方法

リンパ節に痛みを伴わない腫れやしこりがあるなど、B細胞リンパ腫を発症している可能性がある場合は内科もしくは血液内科を受診しましょう。

B細胞リンパ腫の診断は、病理検査によって行われます。
具体的には、針や手術によって病変の組織を採取し、顕微鏡を用いて検査します。

B細胞リンパ腫と診断された場合、さらに進行速度によって3つの悪性度に分類されます。
年単位で進行する「低悪性度」・週から月単位で進行する「中悪性度」・日から週単位で進行する「高悪性度」があり、悪性度によって治療方針が異なるため、より精度の高い治療を行うために複数回検査を実施することもあるのです。

また、現在の進行度(病期)を診断するために、超音波検査・CT検査・PET-CT検査・骨髄検査・胃カメラ・大腸カメラなどの検査も行われます。


B細胞リンパ腫のステージ別症状

B細胞リンパ腫は、進行度によって以下4つのステージに分類されます。最も症状が進行している状態がIV期です。

・I期:頸部や鼠径部など、1ヵ所のみリンパ節の腫れが確認できる

・II期:横隔膜の上下どちらか一方のみ、二つ以上のリンパ節の腫れの広がりやリンパ組織が病変していることを確認できる

・III期:横隔膜の上下両方に、リンパ節やリンパ組織の腫れが広がっていることを確認できる

・IV期:骨髄や肝臓など、リンパ節以外の臓器への転移が認められる


B細胞リンパ腫の治療方法

B細胞リンパ腫の治療として薬を使う化学療法または放射線療法があり、進行度によって治療方針を決定します。
中でも近年は、複数の抗がん剤を組み合わせる「R-CHOP療法」という治療方法がよく用いられています。

ただしR-CHOP療法は、細菌から体を守る働きをする好中球を抑制する働きがあるため感染症にかかりやすくなります。
発熱などの症状を引き起こす恐れがあるものの、抗生剤や抗菌薬の服用によって対処可能です。

B細胞リンパ腫の後遺症

B細胞リンパ腫の治療後は、不妊・糖尿病・骨粗鬆症の発症などの可能性があります。
また、手術を行った場合には心臓や肺などの臓器障害も起こり得るため、B細胞リンパ腫の治療後は定期的に通院治療を継続する、あるいは健康診断を受けることをおすすめします。

まとめ

B細胞リンパ腫は血液がんの一種で、自然に症状が改善するものではありません。
治療を行わなければ症状が悪化して死に至るケースもあるため、「リンパ節の腫れやしこりがある」「寝汗がひどくなった」「体重が減少してきた」など気になる症状が現れている場合は、なるべく早く内科または血液内科を受診してください。

B細胞リンパ腫の治療方法としては、近年は複数の抗がん剤を組み合わせる「R-CHOP療法」が主に用いられています。
また、B細胞リンパ腫の治療後には後遺症が出る可能性もあるため、定期的に外来通院をしたり健康診断を受けるようにしましょう。