味覚異常とは


何らかの原因で味蕾(食べ物の味を感じることができる感覚器官)や神経、脳に異常が起きて味を感じられなくなる、異常な味を感じるようになった状態のことです。

味覚障害になると以下のような症状がみられます。

味覚低下(減退)・消失

味覚低下とは、味覚の減退です。

甘味・塩味・酸味・苦味・うま味(基本五味)の中のいずれかの味を感じとれなくなる場合や、五味すべての味覚が低下することもあります。
完全にすべての味覚を感じとれない場合は味覚低下ではなく味覚消失と呼ばれます。

異味症・自発性異常味覚

異味症とは、いつもと味が違うように感じられる症状のことです。

同じ味の量産品のはずが以前食べたときは味が違って感じられる、急に味の好みが変わる場合はこの異味症の可能性があります。

妊娠時に酸味を好むようになることがあるのは、この異味症が原因によるものと考えられています。
妊娠時は一時的なホルモンバランスや身体の変化によるもののため、身体が落ち着くにつれて味覚の偏りも改善するでしょう。

また自発性異常味覚は実際はお口の中に何もないのに、何かしらの味を感じる症状のことです。

味覚過敏・悪味症

いつもより味を強く感じる症状が味覚過敏です。
周りの人は問題なく食べている食事なのに自分には味がとても濃く感じたり、加工品に含まれている化学成分の味を感じてしまうことも。

また、粘り気のある食品など舌触りが独特な食品を苦手に感じることや、香辛料や特定の調味料の刺激に対して痛みを感じることもありますよ。

そのほか、何を食べても嫌いな味に感じる悪味症という味覚異常もあります。

味覚異常の原因


味覚障害の原因のほとんどは、舌にある味を感じ取るための味蕾という組織の異常によるものです。

何らかの原因で味を感じる味蕾が減少したり、萎縮すると味覚障害を引き起こします。

唾液の分泌が減少して舌が乾燥することによって味蕾が異常をきたしたり、唾液中に異常な物質が分泌され異常な味として感じられることがありますよ。

そのほか、以下のような原因で味覚異常が起こることがあります。

栄養不足

味覚障害は亜鉛の不足により発症するといわれています。

亜鉛は新陳代謝に必要な物質といわれています。
味を感じる機能のある味蕾は特に新陳代謝が盛んな器官なため、亜鉛が不足すると味覚障害に繋がります。

また亜鉛の不足による貧血が味覚障害の原因となる可能性がありますよ。

加齢

加齢に伴い舌の乳頭が萎縮することで味蕾が減少し、唾液の分泌が減少する傾向にあります。

歳をとると味蕾の減少だけではなく味覚を感じる機能自体も低下することがあります。
加齢により塩味を感じとりにくくなるといった現象がみられることがありますよ。

全身疾患の前兆

糖尿病は神経障害を起こすことがあり、脳に味覚を伝達する神経を破壊してしまうことがあります。
糖尿病やケトン症といった体内の糖を上手に消化・吸収できない疾患にかかると、体内に余った糖により口の中が甘くなることも。

また、慢性腎不全による腎臓の機能低下によって亜鉛の排出量が増えることで、体内の亜鉛が不足して味覚異常につながります。

味覚異常の予防・改善法

味覚障害の予防や改善法にはどのようなものがあるのでしょうか。


亜鉛の摂取

まずは味蕾の新陳代謝を促す亜鉛の摂取を心がけてみましょう。
1日の摂取推奨量は男性なら10mg、女性なら8mgが目安とされています。

亜鉛は牡蠣や牛肉、ゴマ、ナッツ類の他、海苔やワカメなどの多くの食品に自然に含まれています。
まずは亜鉛が多く含まれる食事を積極的に摂取するようにし、改善が見込めなければ亜鉛のサプリを活用してみてくださいね。

ただし、亜鉛は過剰に接種すると銅の吸収阻害に繋がり新たな体調不良を招く可能性があるので、適度な量にとどめることが大切です。

亜鉛を接種して味覚異常が治ったからといって、予防のためにと多量接種してしまわないよう注意してくださいね。

唾液の分泌を促す

味覚にはお口の中の水分が不可欠なので、唾液の分泌を促してみましょう。

唾液を分泌する唾液腺がお口の中にありますが、その中でも特に大きな唾液腺(唾液を分泌する量が多い唾液腺)が3つあります。
耳下腺・顎下腺・舌下腺といい、名前の通り耳の下、顎の下側、舌の下側を通っていますよ。

唾液腺を刺激すると唾液の分泌が促されるため、唾液腺の付近をマッサージしてみましょう!
間違ったマッサージをしてしまうと怖いな…と思う方は、歯科医院で「唾液腺マッサージ」を指導してもらうのがおすすめです。

そのほか、レモンや梅干しなどすっぱいものを見ると唾液が出やすくなります。
これは刺激が強いものや酸性のものは危険な物質であると身体が判断し、薄めようと唾液が出るためで一時的ではありますが、口の中が乾くと感じるときには効果的です。

また食べる前のうがいで口の中を潤したり、こまめな水分補給で体内の水分量を調整するなどして口の中が乾かないように工夫してみましょう!

まとめ

味覚障害を引き起こすと偏食や食欲減退、腐った食べ物を食べても気がつかないなど更なる病気のリスクや身体への危険が迫ります。

また、味覚の急激な変化はお口の中の以上だけでなく、全身の別の病気の可能性も十分に考えられます。
もしも味に異変を感じたり、味覚の変化により食事が困難になった場合は、早めに医療機関を受診してみてくださいね。