歯牙腫(しがしゅ)とは


歯牙腫は歯と同じ組織でできた良性の疾患で、顎の骨の中に発生します。

また、歯牙腫は歯の形に似た「複雑性歯牙腫」と、歯の形からは逸脱している「集合性歯牙腫」の2種類に分けられます。
どちらか一方だけでなく、2種類が複合した症例も少なくありません。

歯牙腫ができても、ほとんどの場合は痛みなどはなく無症状です。
そのため、虫歯や歯列矯正などの治療でレントゲンを撮ったときに偶然発見されるケースが多くあります。

また、永久歯がなかなか生えてこないときに、確認のためにレントゲンを撮ったら歯牙腫が発見されることも。
歯牙腫は境界がはっきりとしていて、レントゲンには歯と同じように白い像として映るため、診断が可能です(最終的な診断は摘出後の病理検査を行います)。

歯牙腫は無症状で問題がないことがほとんどですが、発生部位によっては、歯の生え変わりや歯並びの異常を招く恐れがあります。

複雑性歯牙腫

複雑性歯牙腫は、10代〜20代に多く見られます。

小臼歯部(犬歯と大臼歯の間の歯)や大臼歯部(奥歯)に起こりやすいことが特徴です。
また、病理検査をすると歯の形に類似していることが特徴です。

集合性歯牙腫

多数の歯に似た小さな硬組織が集まってできるのが、集合性歯牙腫です。

特に上顎の前歯部に多く起こり、下顎の前歯部などにもまれに現れます。
集合性歯牙腫のほうが、複雑性歯牙腫よりも発生割合は多いとされています。

歯牙腫の原因


歯牙腫は、新たに歯を形成する芽である「歯胚」の形成異常が原因となって発生します。
象牙質・エナメル質・セメント質などの歯を構成する組織が過剰に増殖したものです。

なぜ歯胚の形成異常が起こるのかについては、正確にはわかっていません。

歯牙腫の治療方法


歯牙腫を治療するには、口腔外科の手術によって歯牙腫のみを摘出するのが一般的です。事前に画像検査で歯牙腫がある部位を確認でき、小さいものであれば簡単に摘出することができます。

歯牙腫のほとんどが悪性ではないため、日常生活に支障が出ていない場合には摘出手術の必要はないと言えます。

ただし、痛みや腫れなどの炎症が起こっている場合や、歯牙腫の存在が永久歯が生えるのを妨げている場合などは、摘出手術を行う必要があるでしょう。

摘出した後の組織は時間経過によって治癒していくため、投薬をなども必要ありません。

まとめ

歯牙腫は、歯の元になる「歯胚」の形成異常が原因で発生します。
多くは痛みや腫れなどの症状がなく、永久歯が生えてこない・虫歯治療などのタイミングで撮ったレントゲンから発見されることが多いです。
歯牙腫は特に10代〜20代に多く見られます。

歯牙腫の治療は摘出が一般的で、小さなものであれば簡単に摘出できるため、さほど心配はいりません。

また、歯牙腫に悪性のものはほとんどなく、日常生活に支障が出ていなければ、摘出手術を行わずに経過観察する場合もあります。
まずは歯科医師の判断を仰ぎ、よく話し合って治療方針を決めていきましょう。