AIDSとは?


AIDSは、Acquired Immunodeficiency Syndromeの略称で、「後天性免疫不全症候群」という病気です。

免疫力が非常に低い状態にあり、真菌症・原虫症・細菌感染症・ウイルス感染症・悪性腫瘍などが発症します。

HIVというウイルスが原因で感染する

AIDSは、HIVというウイルスに感染することで発症する病気です。
HIVに感染して免疫細胞が破壊され、免疫力が極度に低下すると健康な状態のときにはかからないような病気にかかります(日和見感染(ひよりみかんせん)といいます)。

HIVに感染した状態のみでは、AIDSとは言いません。
HIVに感染したうえで、真菌症・原虫症・細菌感染症・ウイルス感染症・悪性腫瘍など、計23ある指標疾患のいずれかを発症している状態をAIDSと言うのです。

HIVはウイルスの一種で、インフルエンザウイルスや肝炎ウイルスなどと比べると感染力は弱いです。
主な感染経路の性行為でも感染率は0.1−1%と低く、アルコール消毒で簡単に除去できます。

さらに、キス・握手・汗・唾液・トイレ・お風呂・プール・蚊など、日常生活での接触では感染しません。

HIVに感染後、2週間〜8週間は一時的に風邪のような症状が見られることが多いです。
単なる風邪の症状と捉えることが多く、HIVに感染していることに気づきにくいのです。

そこから数年から10年以上は特に症状がない期間が続いた後、AIDSを発症することがあります。

HIV感染者とAIDS患者の年齢割合


HIV感染者の年齢別割合は20代が最も多く、次に30代が続きます。
20歳未満と60歳以上のHIV感染者は割合が少ないことが特徴です。

一方、AIDS患者の年齢別割合は40代が最も多く、次に50代が続きます。

このことから、20代・30代でHIVに感染し、潜伏期間を経て、40代・50代でAIDSを発症する可能性が高いと考えられます。

AIDSは口腔内に症状が現れるって本当?

AIDSに関連する口腔症状は、少なくとも40種類以上あります。

主な症状としては、口腔カンジダ症・口角炎・白板症・壊死性潰瘍性歯肉炎・ヘルペス・帯状疱疹・口内炎などが挙げられます。

白い斑点やコケのような症状が口腔内に見られることが多く、一般的な口内炎と見間違えるケースも少なくありません。

免疫力が回復すると、口腔内の症状は消失します。
また、口腔内の環境を清潔に保っていると、AIDSに関連する口腔症状の出現を抑えられる傾向にあるのです。

AIDSを治療する流れ

AIDSを発症している疑いがあり、口腔内に症状が出ている場合は、AIDSの診察に加えて歯科治療が受けられる病院を選ぶようにしましょう。

お住まいの地域によっては、自治体や保健所などに問い合わせることで、近くの病院を紹介してもらえますのでご活用ください。

病院では、具体的には以下のような流れで治療が行われます。


薬剤耐性検査を行う

AIDSの原因であるHIVウイルスの量を抑える治療を行っていきます。

まず、薬剤耐性検査を受けます。
体内のHIVが薬剤耐性を獲得している場合、十分な治療効果が見込めないため、初診時や治療開始時、そして治療開始後も随時薬剤耐性検査を実施し、逐次治療方針を見直していくのです。

抗HIV薬を投与する

HIVウイルスの量を抑えて、免疫力を低下させず維持させていくために、抗HIV薬の投与を行います。

抗HIV薬は主に、核酸系逆転写酵素阻害剤・非核酸系逆転写酵素阻害剤・プロテアーゼ阻害剤・インテグラーゼ阻害剤・侵入阻害薬という5種類があり、このうち3種類〜4種類を組み合わせて内服する治療法(多剤併用療法・ART)が一般的です。

また、近年は2〜3種類の成分が1錠に含まれている抗HIV薬もあり、1日1錠の内服で治療することも可能となっています。

ただし、抗HIV薬の内服によって、口腔潰瘍・口腔乾燥症・味覚異常・舌炎・味覚異常などの症状が現れるケースもあります。
正しく内服を継続しないと、HIVウイルスが薬剤耐性を獲得してしまい、使える薬の選択肢が減ってしまうという点にも要注意です。

抗HIV薬によってウイルスが十分に抑制されている場合には、1ヵ月〜2ヵ月に1回のペースで筋肉注射を投与することもできます。


CD4陽性Tリンパ球数とHIVウイルス量を定期的に検査する

抗HIV薬の投薬を開始したら、定期的にCD4陽性Tリンパ球数とHIVウイルス量を検査していきます。
個々の患者さんに対する治療効果や免疫状態を確認することができます。

個々の患者さんに対する治療効果や免疫状態を確認することができます

また適切な治療を行ってもHIVウイルスを完全に排除できるわけではありません。 AIDS発症を遅らせる治療を開始したら、定期的な検査と投薬が生涯続きます。

まとめ

個々の患者さんに対する治療効果や免疫状態を確認することができます

AIDSはHIV感染後、長い年月を経過して発症するウイルス感染症であり、白い斑点やコケのような口腔内症状が現れる可能性が高いです。 AIDSの治療は、抗HIV薬によりHIVウイルス量を抑えることが一般的で、生涯にわたって検査と投薬が行われます。

個々の患者さんに対する治療効果や免疫状態を確認することができます

AIDSを予防するには、まずはAIDS発症の原因となるHIV感染を予防することが大切です。
主な感染経路は性行為です。どうすればHIV感染を予防できるのかを知って実践しましょう。