糖尿病による肝臓への影響


糖尿病とは、「インスリンの作用不足によって慢性的な高血糖状態をきたし、長期化することで特有の合併症を生じるとともに動脈硬化をも進行させる病気」のことです。

糖尿病に深い関わりのあるインスリンは、膵臓から分泌されています。
本来はこのインスリンというホルモンの働きにより肝臓中の糖の量を減らしたり、血液中の糖を肝臓に取り込んだりして血糖値をコントロールしていますが、その働きが鈍ると糖尿病が引き起こされます。

脂肪肝の発症


糖尿病の患者さんの中には、インスリンの効きが悪くなっている(インスリン抵抗性がある)タイプの方がいます。

この場合、肝臓内で糖が増えすぎて飽和状態となり肝臓に糖を取り込めなくなるので血液中の糖の量が上がります。

肝臓で中性脂肪がたくさん作られてしまうと風船のように膨れて炎症を引き起こしてしまいます。
こうして脂肪肝が発症します。

炎症が長引くと、慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行する恐れがありますよ。

肝臓がん発症のリスクが高い

肝臓がんのリスクは、糖尿病に罹患していない人と比べると2倍に。
糖尿病の患者さんの10人に1人は肝臓疾患で命を落としています。

肝臓は“沈黙の臓器”と言われるように、肝疾患を患っても自覚症状を感じにくいため気づいた頃にはかなり進行していることが多いです。

糖尿病は歯周病を併発しやすい


糖尿病と歯周病にも密接な関係があります。
歯周病は、生活習慣が乱れてお口の中がケアできていないと罹患することが多いです。

糖尿病に関してもほとんどが生活習慣病です。
歯周病の治療は肝臓への負担を軽減できるので糖尿病予防に繋がります。

糖尿病や歯周病を引き起こす理由

糖尿病と歯周病には相互関係があります。

糖尿病の方は歯周病になりやすく、歯周病になると血糖のコントロールが悪くなるとも言われています。

血流の悪化

血流内に糖が急激に増えると活性酸素が大量に発生します。

活性酸素は血管を破壊して毛細血管が破裂するので合併症を悪化させます。

抵抗力の低下

糖尿病は白血球の働きが低下するので抵抗力が低下します。

抵抗力が下がると様々な感染症に罹患しやすくなります。歯周病もその一つです。


唾液の減少

糖を身体の外へ出そうして腎臓が尿を大量につくるため、唾液が減少します。

唾液にはお口の中を綺麗にする自浄作用や殺菌作用、虫歯になりにくくする再石灰化作用、緩衝作用、食べ物を消化する消化作用など多くの効果がありますので唾液が減少するとお口の中の状況が悪化しやすくなります。

血糖値の上昇

歯周ポケットから出血したり膿が出ている場合は炎症が起きているサインです。

炎症によって生じた化学物質が血流にのって体内へ拡散されると体内のインスリン作用を妨害してしまうので糖尿病が悪化しやすくなります。

まとめ

歯周病は糖尿病の第6の合併症と言われていますが、歯周病治療や日頃のお口の中のケアは全身の健康状態へと繋がります。
歯周病の治療を行うと糖尿病の数値に改善がみられたという研究もありますので糖尿病の方は根気強く歯周病治療を受けることが大切です✩

いずれも生活習慣に関わる病気ですので、罹患されていない方は予防に努めましょう。