糖尿病のタイプ

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンに異常が起こり、血液中の糖が多くなる病気です。

血液中の糖が増えるとドロドロ血液になったり、血管がダメージを受けてしまい、動脈硬化などさまざまな合併症を引き起こす原因のひとつとなります。

これだけでは、糖尿病と歯周病の関係性についてよくわかりませんよね。
関係性をよく知るために、まずは糖尿病のタイプについて確認していきましょう。

1型糖尿病

「1型糖尿病」は、膵臓の細胞が破壊されてインスリンの分泌ができなくなるタイプ。
糖尿病全体のうち、およそ5%がこのタイプであるとされています。

急に症状が出ることも多く、生活習慣や肥満とは関係なく発生します。
さらに、若いうちに発症することが多いという点も特徴的です。

現在の医学では治らないとされているのが1型糖尿病。
いわゆるインスリン注射を打つ糖尿病はこの1型糖尿病です。

インスリンを定期的に注射しなかった場合、重度の高血糖となり意識を失ったり、重度の合併症を引き起こして命を落とすこともあります。

2型糖尿病

「2型糖尿病」は糖尿病全体の9割以上を占めるもので、遺伝的要素に加えて生活習慣が影響し発症します。

いわゆる生活習慣病の糖尿病がこの2型糖尿病です。
症状としては、インスリンが出なくなる「分泌不全」と、インスリンの効きが悪くなる「抵抗性」の2種類が存在します。

早期に発見して食事・睡眠・運動などの生活習慣に気を付け、さらに肥満を解消することで、治療の必要がない寛解状態にすることができるといわれています。

歯周病は糖尿病の合併症のひとつ

歯周病は、歯と歯茎の間にある隙間(歯周ポケット)に侵入した細菌が炎症を引き起こす炎症性疾患です。

歯磨きが不十分な場合、お口の中にたまった細菌が歯垢を作り出し、虫歯や歯周病の原因となるのです。
歯垢に集まった細菌は毒素を生み出し、歯茎に炎症を引き起こします。

歯周病が進行すると歯茎の腫れ、歯茎が下がる、歯周ポケットが深くなる、歯を支える骨が溶けるなどさまざまなお口のトラブルが引き起こされます。

実は、糖尿病になると歯周病を併発する可能性が高くなります

高血糖状態になると免疫機能が下がり歯茎に炎症を起こしやすくなります。
さらに、2型糖尿病の原因のひとつである肥満状態では、脂肪組織からサイトカインと呼ばれるタンパク質が分泌されます。

このサイトカインは、歯を支える骨を溶かす「骨吸収」を促進してしまうんです。糖尿病が歯周病を悪化させてしまうといえます。

また、歯周病になるとインスリンの働きが悪くなって高血糖になりやすくなります。
すなわち、血糖値のコントロールがしづらくなる=歯周病の人は糖尿病の治療が難しくなるんです。

そう、糖尿病と歯周病は深い関連性があり、
歯周病予防は糖尿病予防
糖尿病予防は歯周病予防

ということですね。

歯周病を予防して糖尿病を防ごう

歯周病を予防することが糖尿病の予防にもつながることがわかりましたね。

では、どうしたら歯周病を予防できるのかを紹介します!

炎症を抑える・起こさない

歯周病は細菌による炎症性疾患であることをご紹介しました。

炎症を起こさないことが歯周病予防の第一歩であるといえるでしょう。
なので、まずは歯周病菌を取り除くことを意識してみてください。

歯周病菌を取り除くには、やはり歯磨きが大切。歯周病菌が集まる歯垢を取り除くことは、歯周病菌を取り除くことにもつながりますよ(虫歯予防にもなって一石二鳥ですね!)。

歯垢は時間がたつと唾液のカルシウム成分によって歯石となり、ザラザラとした歯石はさらに歯垢が付きやすい環境になっていきます。
定期的に歯石を取り除く歯科医院でのクリーニング(スケーリングやSRP)を受けることも、間接的に糖尿病の予防になるんです。

また、歯垢にくっついた歯周病菌以外に、お口の中や歯と歯茎の隙間に入り込んで浮遊している歯周病菌もいるので、殺菌効果の高いマウスウォッシュなどを使うのも効果的ですよ。

正しい食習慣を意識する

正しい食習慣は糖尿病の予防には欠かせません。

必要以上の食事をとると、インスリンの糖分処理が追い付かず、血糖値が上がったままになってしまいます。
また、食事内容に偏っていて糖質を摂りすぎるのもNG。

そして、正しい食習慣は歯周病の予防にもなるんです。

例えば、間食は1~2回程度にしておくこと。
間食が多いと虫歯菌が活発になり、歯垢を作り出して歯周病菌がくっつきます。
そして、歯周病が進行しやすくなってしまうので、間食を減らして虫歯菌や歯周病の増殖を抑制することが歯周病の予防にもなると考えられます。

また、しっかり噛むことで唾液の分泌量を増やすこともできますよ。
唾液によってお口の中が自浄作用により洗い流されてお口の中の清潔を保ちやすく、歯周病の予防につながるんです。

歯科医院の定期検診を受診する

歯周病の予防において最も効果的なのは、やはり歯科医院での定期健診となります。

歯周病はサイレントディジーズ(静かなる病気)とも呼ばれ、最初の段階ではわかりやすい症状はほとんどないんです。進行しても症状がなく、予防に気を付けていても気が付かないうちに歯周病が進行している患者さんは意外といるんですよ。

そこで、定期検診でチェックを受けることで気が付かないうちの歯周病の発見も可能に。

先にご紹介した歯科医院でのクリーニングも兼ねて、定期的な歯科通院をしてみてくださいね。

まとめ

糖尿病と歯周病は相互に深い関係があり、糖尿病を予防することが歯周病予防に、歯周病を予防することが糖尿病予防につながるんです。

もしかしたらすでにサイレントディジーズである歯周病になっていて、糖尿病の可能性が高まっているかも…。
まずは一度、歯科医院で歯周病の検査を受けてみませんか?