Q:歯科麻酔にはどんな種類があるの?

A:歯科麻酔の種類は主に5つあります。
それぞれの麻酔の種類について詳しくみていきましょう!


①表面麻酔

麻酔薬を塗った歯茎を部分的に麻痺させることができます。
表面麻酔だけで治療することは少なく、ほかの麻酔の前準備、併用して使うことがほとんど。

次に紹介する浸潤麻酔や伝達麻酔が、いわゆる針を刺す麻酔の注射。
針を刺す痛みを軽減するために使われることが多いのが表面麻酔です。

そのほか、ぐらぐらしている乳歯を抜く時や、歯石のクリーニングの時は表面麻酔のみを用いることも。

ジェルや薬液をガーゼ・綿等にしみこませて歯茎に置く方法と、テープで歯茎に貼り付ける方法などさまざまなタイプがあります。

②浸潤麻酔

歯科治療で多く用いられるのが浸潤麻酔です。
歯科で麻酔を受けたことがある場合、おそらくこの浸潤麻酔の可能性が高いですね。

歯茎に針を刺して治療する歯の周りに麻酔薬を注入し、部分的に感覚を麻痺させる麻酔です。

麻酔といえば、治療中の痛みがなくなるのはわかっているけど麻酔をする痛みが嫌だという患者さんも多くいますよね。

その痛みを軽減するために、多くの歯科医院では浸潤麻酔をする時に工夫をしているんです。
例えば、表面麻酔をする、細い針を使用する(針が細いほうが痛みが少ないといわれています)、麻酔薬を体温と同じ温度に維持するなどです。

麻酔薬を注入する痛みを軽減するために、一定の圧で注入ができる電動式注射器を使うこともありますよ。

浸潤麻酔は、基本的に2~3時間程効果が持続します。

③伝達麻酔

伝達麻酔は浸透麻酔と同様に、注射で麻酔薬を注入する方法です。
違いは麻酔の持続時間と範囲で、伝達麻酔のほうが麻酔が効く範囲が広いです。

伝達麻酔は浸潤麻酔よりも針の長さが長く、下顎にとっている神経付近に麻酔を注入します。
神経の近くに麻酔薬を届けることで、より麻酔の効きをよくすることができますよ。

下顎の埋まっている親知らずを抜歯するときによく使われます。
下顎を通る神経の広い範囲に麻酔薬が届くため、唇や舌も麻痺することがあります。

伝達麻酔は、基本的に4~6時間程効果が持続します。

④全身麻酔

全身麻酔は患者さんの意識の無い状態に誘導して治療を行う方法です。

外科手術が必要な外科矯正治療や大がかりな歯科治療が必要な際に行われています。
埋まっている親知らずを抜く、親知らず4本を全部まとめて抜く、歯がなくお口全部をカバーするためのインプラントをする、などの場合に全身麻酔が使われることが多いですよ。

また、治療中にじっとしていられない人や特に痛みが苦手な人、歯科への恐怖心が強い人などは通常の歯科治療でも全身麻酔を適用することがあります。

全身麻酔ができる設備がある一般歯科医院はほとんどなく、多くの場合は大学病院や総合病院で行います。

⑤笑気ガス(笑気吸入鎮静法)

不安感や恐怖心を取り除くのに役立つ麻酔ガスを吸入する方法です。

全身麻酔と違って意識はありますが、意識が少しぼんやりとしてリラックス状態になれるため、痛みや恐怖を感じにくくなります。

笑気ガスは、歯科治療が怖い人や子供の歯科治療で使われることがありますよ。
また、循環器疾患がある人は歯科治療で精神的ストレスを感じると疾患に悪影響を与えるリスクがあるため、リスクを減らすために笑気ガスを使うことがあります。


Q:歯科麻酔で気分が悪くなることはありますか?

A:麻酔によっては気分が悪くなる、血圧が上がる、動悸、吐き気、手足のしびれなどの副作用が出る可能性もあります。
何かしら副作用があった場合は、治療を中断して休んでいると多くの症状が改善されます。

過去に歯科麻酔で副作用が出たことがある患者さんは、事前に歯科医師に相談してください。

Q:歯科麻酔をしたあと気をつけることはありますか?

A:浸潤麻酔と伝達麻酔という注射による歯科麻酔は、治療後も数時間にわたって麻酔の効果が持続します。
痛みや熱さに関する感覚が麻痺しているため、怪我や火傷に注意しましょう。
熱いものを食べて火傷することや、子供は舌や唇の感覚が気になって噛んでしまい傷になることがあります。

まとめ

歯科麻酔の方法は様々で、患者さん個人に合った対応も可能です。
歯科麻酔が怖い、不安がある、注射の痛みに耐えられないかもしれない…という方は事前に歯科医師に相談してみてください。

また、浸潤麻酔や伝達麻酔は麻酔したい部位が炎症をおこしていると効きづらいという特徴があります。
麻酔が効きづらいと、治療中に痛みを感じたり、麻酔を多めに使わなくてはいけないことも。

麻酔をしなくても済むように、定期検診や早めの治療を心がけてみてくださいね。