「がん」は早期発見が最大のポイント
がん検診の最大の目的は、がんの早期発見にあります。
がんは進行性なので発見が遅れてしまうと治療が難しくなり、患者さんの身体的・経済的な負担が大きくなってしまいます。
早い段階で発見できれば、治る可能性が非常に高くなります。
また、患者さんご自身の予後を考えると、早期発見で治療した方が安心感もあります。
こうした理由から定期的ながん検診が推奨されていますが、症状の進行度は人によって異なります。
そのため、定期的に検診を受けても早期発見に至らないケースもあります。
「がん」を早期発見できる!血液検査
近年、血液を検体とした自宅でできるがん検査がニュースなどで取り上げられるようになりました。
そのため、こうした検査方法をご存知の方も多いかと思います。
「自宅での検査では手軽すぎるのでは」と思われるかもしれませんが、血液検査のがんの早期発見に有効であると言われています。
血液中に含まれているたんぱく質が、がんの種類によってそれぞれ特徴が異なるということがわかってきているためです。
こうした特有なパターンがないか血液を調べ、がんの有無や種類を判定します。
血液中には、「マイクロRNA」という物質が含まれており、これらを自動解析することでがんを発見する方法です。
2014年にスタートしたこの「マイクロRNA」を用いた研究プロジェクトの中心的存在である国立がん研究センター中央病院の結果では、がんの種類ごとに特徴的なパターンがあることが判明してきました。
例えば胃がんなら胃がん、乳がんには乳がんに特徴的なパターンがあるという具合に、研究グループはこうした検討を13種類のがんについて研究を重ねて、それぞれ個別のがんに特有のパターンがあることを発見しました。
血液検査でわかるがんの種類は?
自宅でできる血液検査でわかるがんの種類としては、主に下記のようなものがあります。
肺がん
食道がん
胃がん
大腸がん
すい臓がん
肝臓がん
胆のうがん
胆管がん
前立腺がん
甲状腺がん
乳がん
卵巣がん
子宮頸がん
など
ただし、検査キットによって判定できる種類は異なるのでご注意ください。
血液1滴!がん血液検査のやり方
まず、自宅で検査するために必要な検査キットを購入します。
検査キットは郵送で届くものもあれば、店舗で説明を受けて受け取るものもあります。
血液の採取の方法としては、検査キットに含まれている針で指先を刺し、指先に溜まった1滴~数滴の血液を採取するだけ。
10分ほどで終わってしまいます。
採血した検査キットは指定された検査機関に郵送し、結果を待ちます。
従来のがん検査は予約や病院への移動、待ち時間、検査を受けることへの疲労などさまざまなストレスがありましたが、自宅でできる血液検査は時間や手間があまりかからないというメリットがあります。
もしもがんの疑いと出たら?
検査キットによる結果はあくまで参考値であり、必ずしもがんの動きを正確に反映したものではありません。
もし「要精密検査」などの判定が出たら、まずは医療機関に相談して検査を受けてください。
そこでレントゲンやCT、超音波といった検査を行い診断が出ます。
疑いがあれば医療機関での検査は保険が適応される?
検査キットの結果は目安となるもので、医療機関の診断ではありません。
もし、検査キットで「がんの疑いあり」と結果が出たとしても、その後医療機関で受ける精密検査では保険が適用されません。
市区町村が実施する公共的な検査は無料または少額で行われていることも多く、小さな自己負担で済みます。
また、保険は適用されませんが、人間ドックのように医療機関や検診期間で自由に検査方法を選び検査する方法もあります。
もし、検査の結果が要治療ということになれば、健康保険が適用されるケースもあります。
まとめ
がんの治療成績は近年にかけて急速に向上し、その生存率も伸びてきました。
一方で、進行したがんはやはり厳しい病気であることに変わりなく、毎年多くの方々ががんで命を落としており、発見が遅れれば手強い病気であることは間違いありません。
有効ながん対策としては、できるだけ早くにがん病変部を発見して、治療に繋げることです。
血液1滴でがん病巣を指摘することができれば、仕事や家事で忙しく検診に行けない場合などでも簡便にがんの有無を評価することが出来るという利点があります。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。