お口の汚れが見えるマウスウォッシュ
汚れが見えるマウスウォッシュは、各社から似たような商品が販売されています。
どの商品も基本的な使い方としては、液体をお口に含んで、くちゅくちゅとゆすいで吐き出すというものです。
すると、ぺっと吐き出した液体の中に何やら固まった茶色いものが含まれています。
この茶色いものが、お口の中にある汚れであるとされています。
普段歯磨きなどをしていても自分のお口の中の汚れ具合はわかりにくく、ぶくぶくうがいをするだけで本当に汚れが取れるなら魅力的ですよね。
見えているのは本当に汚れ?
ただ、これらの商品は汚れが見えるマウスウォッシュと謳っていますが、出てきた茶色いものは本当に汚れなのでしょうか?
本当にマウスウォッシュを使ったぶくぶくうがいだけで、そんなに汚れが出てくるものなのか疑わしいですよね。
汚れが見えるマウスウォッシュの仕組み
汚れが見えるマウスウォッシュの仕組みは、お口の中にある「たんぱく質」を固めて出すというもの。
お口に含む液体には、たんぱく質を浮かせて固める成分が入っています。
具体的にはチャ葉エキスという成分を含む商品が多く、チャ葉エキスに含まれるカテキンがたんぱく質と結合して茶色い塊となってお口から出てきています。
たんぱく質って本当に汚れ?
ここで少し視点を変えて、たんぱく質について考えてみましょう。
ヒトの体は水分が約60%を占めるほか、約15〜20%はたんぱく質でできています。
たんぱく質は筋肉・臓器・皮膚・骨など、ヒトの体のどこにでも存在していて、ホルモンや酵素、免疫物質などを作る材料ともなっています。
つまり、たんぱく質は私たちの全身を作り上げていて、ヒトが生命活動を行ううえで欠かすことができません。
ということは、汚れが見えるマウスウォッシュの「たんぱく質を固めて出す」という仕組みで出てくるたんぱく質=汚れとは限りません。
必ずしも「汚れ」を取り除いたことにはならなさそうですね。
…なんだか雲行きが怪しくなってきました。
このあたりを次の章で解説していきます!
お口の中のたんぱく質汚れとは
たんぱく質はヒトの体を構成しています。
そう、お口の中の頬や舌などの粘膜もたんぱく質でできているのです。
一方で、ヒトの体を構成するたんぱく質以外に「汚れ」のたんぱく質も存在します。
例えば、食べかすやターンオーバー(細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組み)によって剥がれてきているお口の中の粘膜もたんぱく質です。
この食べかすなどのたんぱく質は、はヒトの体を構成しているわけではない「お口の中の汚れ」ですね。
これらお口の中の「たんぱく質汚れ」は細菌の餌になります。
細菌が餌(たんぱく質)を分解するときに出す物質は、口臭にもつながるとされています。
この「たんぱく質汚れ」もマウスウォッシュを使って出てくる茶色い塊には含まれているので、通常のぶくぶくうがいと同程度かそれより少し多く汚れはとれているといえるでしょう。
汚れが見えるマウスウォッシュは細菌は固められない
「汚れが見えるマウスウォッシュ」は、確かに汚れを除去しているといえるでしょう。
でも、汚れが見えるマウスウォッシュは、お口の中の細菌を固めて取り除いているわけではありません。
殺菌効果がプラスされている商品もあるようですが、ぶくぶくうがいをして出てきた茶色い塊は細菌の塊ではありません。
虫歯も歯周病も、一番の原因は菌です。
汚れが見えるマウスウォッシュでは菌や汚れがすべて取り除けるわけではなく、虫歯や歯周病のリスクはなくなりません。
汚れが見えるマウスウォッシュに頼ってばかりで歯磨きをしないでいると、お口の中の環境はどんどん悪くなり虫歯や歯周病などにつながります。
汚れが見えるマウスウォッシュを使ったときも、丁寧な歯磨きを続けることは必要です。
まとめ
汚れが見えるマウスウォッシュは、お口の中にあるたんぱく質汚れを固めて出すという仕組みであることがわかりました。
お口の中の汚れの量は個人差があり、使うタイミングによっても変わってくるため「こんなにごっそり汚れが取れる!」という広告は、気にしないほうがいいかもしれません。
とはいえ、細菌の餌となり、口臭の元ともなるたんぱく質汚れを取り除くことには意味があると言えます。
日々の歯磨きを徹底しつつ、汚れが見えるマウスウォッシュを併用するのもいいかもしれませんね。