三叉神経痛とは
三叉神経痛とは、顔の皮膚や口の粘膜、歯や歯茎の感覚を脳に伝える「三叉神経」に由来して起こる痛みです。
発症する可能性自体は高くない病気ではありますが、痛みの度合いは非常に大きく、耐え難いレベルにまで到達するケースもあります。
三叉神経痛の症状は?
三叉神経痛の痛みは突発的なものであり、顔の左右どちらかが突然痛みだします。
顔の一部に何かが触れたり、風などに当たると電流が走るような激しい痛みが繰り返し生じます。
食事や飲水、洗顔、歯磨き、会話、化粧、ひげ剃りなどのありふれた行動が引き金となって痛みが発生するため、日常生活にも大きな支障が生じてきます。
加えて、口の周囲や鼻の脇といった部位に何かが触れるときまって痛みが誘発されるといった、特定の動作(トリガー)があるのが特徴です。
痛みは1回につき2~10秒ほど。長くて2分程度といわれています。
痛みが出る時期は数ヵ月間で一度収まり、その後しばらくしてから再び痛みが発生し始めます。
季節によって痛みの程度が変動することも特徴の一つで、秋や冬に痛みが悪化する人が多いのも特徴です。
三叉神経痛になる原因とは
顔の感覚を司る三叉神経を血管が強く圧迫してしまうことが、三叉神経痛を発生させる主な原因と言われています。
血管が拍動する際に神経に強い刺激が与えられ、痛みとして大脳に認識される訳です。
三叉神経を血管が圧迫する頻度は多くないものの、三叉神経周囲に腫瘍が発生することによって三叉神経が圧迫されることにより、三叉神経痛が発生することもあります。
非常に珍しいケースとなりますが、血管の奇形によって三叉神経痛につながる場合も存在します。
三叉神経痛の治し方
三叉神経痛の治療法ですが、抗てんかん薬を用いるのが一般的です。
薬が効果を発揮している間は投薬治療のみで問題ありませんが、以下の場合は投薬治療以外の治療を試みます。
・痛みをコントロールしきれなかった
・投薬をやめた後に再発した
・副作用が発生するなど投薬では対処しきれない
具体的な治療ですが、外科手術によって血管を神経から離れた場所に移動することにより神経圧迫を解除することが、唯一の根本的な治療法です。
外科手術ということで相応のリスクは伴いますが、症状を改善できるということもあり、根治させるためには最も効果的な手段と言われています。
痛みを和らげたい!自分でできる対処法はある?
三叉神経痛の痛みは強く、日常生活で苦しむ患者さんが多くいます。
風が吹くと痛い場合は、服で隠れない顔や首にストールを巻くなど風に当たらないように工夫することができます。
また、身体を冷やさない・急に血圧が上がらないようにするなどの対策をすることができます。
ですが、自分自身で痛みをなくすことは非常に難しいことです。
三叉神経痛による痛みを和らげるには、抗てんかん薬の処方が一般的です。
主に脳神経外科で処方されるお薬ですが、神経の興奮を抑えることで痛みをコントロールすることが可能となります。
三叉神経痛における痛みは、医師と相談して長期的に治療することが必要です。
三叉神経痛は痛み止めが効かない
実は三叉神経痛にいわゆる「痛み止め(鎮痛剤)」は効きません。
血管が神経を圧迫することが原因であることが多いためです。
痛みを軽減・なくすためには抗てんかん薬が有効とされています。
患者さんが単独で三叉神経痛に対処することが難しいとされるのは、そういった事情にもよります。
三叉神経痛の初期症状はこれ!
三叉神経痛の初期症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・化粧、洗顔、ひげ剃りの際に、顔に痛みが生じる
・歯磨き、食事の際に、歯に痛みが生じる
・顔の特定の部位を触った時に、痛みを感じる
三叉神経痛には、痛みが発生するきっかけとなる何らかの動作が存在します。
悪化すると、風が吹いただけで痛む、少し顔を触るだけで激痛が走るなど痛みが悪化していきます。
もしも症状に心当たりがあれば、三叉神経痛である可能性を考慮して早めに受診することをおすすめします。
まとめ
三叉神経痛は病院で治療することによって緩和することができますが、放置していて痛みが治まることはまずありません。
症状が軽度のうちに受診することで、痛みを緩和できる可能性もあるため、何らかの兆候を感じたら、早めに病院にかかることをお勧めします。
発生する可能性自体が低い病気ということに加え、痛みが生じる箇所が顔面や歯ということもあり、症状だけでは神経系の病気だとわかりづらい部分があるのも、三叉神経痛の怖いところです。
虫歯が原因だと考えて歯科にかかり、必要のない抜歯を行ってしまった、という患者さんも実際に存在するため、不必要な治療を避けるためにも原因の特定はきわめて重要となってきます。
そのような事態を避けるためにも、痛みが生じた時点で、自分が三叉神経痛であるという可能性を考慮に入れることが大事です。
適切な診療科での診断を受け、痛みの原因を特定したうえで、より自分に適した治療を受けられるようにしていきましょう。