唾液のPCR検査!何がわかる?
「唾液のPCR検査」を聞いたことはありますか?
PCR検査と聞くと、新型コロナウイルスの検査が思い浮かぶ方も多いかもしれません。
歯科医院で行う唾液を用いたPCR検査は、新型コロナウイルスのPCR検査のことではありません(※)。
お口の中の環境を調べ、疾患の予防に活かすための検査のことなのです。
では、具体的にお口の中の何がわかるのでしょうか?
(※コロナのPCR検査を取り扱っている歯科医院もあります)
虫歯のなりやすさ(虫歯菌の量)
唾液のPCR検査では、虫歯菌のPCR量により、お口の中にどれくらいの虫歯菌が存在しているかを調べることができます。
虫歯菌が多いほど虫歯になりやすいと判断することができますよ。
歯周病のなりやすさ
唾液中の歯周病菌を調べることで、歯周病や口臭のリスクを調べることができます。
唾液のPCR検査は歯科医院によってさまざま
歯科医院で行う唾液のPCR検査は、使用する機器も違うため調べられる内容もさまざま。
虫歯や歯周病のリスクを調べられるのはもちろんのこと、歯科医院によっては唾液の酸性度やアンモニアの量など下記の項目をデータ化、グラフ化してくれる所もあります。
唾液の酸性度
唾液の酸性度(pH)を調べることができます。
pHが酸性度が高いほどお口の中が酸性の時間が長いため、歯の表面のエナメル質が溶け出す時間が長く、虫歯になりやすいと判断することができます。
お口の中の酸性を中和する能力(緩衝能)
お口の中のpHが変化したとき、中性に戻ろうとする能力を「緩衝能」といいます。
お口の中が酸性から中性に戻ろうとするには唾液に含まれる重炭酸塩イオンが重要であり、唾液が多いほど緩衝能が高く、唾液が少ないと緩衝能が低いとされます。
口臭の原因になるアンモニアの量
お口の中の細菌数が多いと、口臭の原因であるアンモニアも増えてしまいます。
アンモニア濃度を調べることで、口臭の原因を探ることができますよ。
歯茎の健康度
歯と歯茎の間に細菌やプラーク(歯垢)がたまっていると、唾液中の白血球やタンパク質が多くなります。
これらの量を調べることで、歯周病リスクなど歯茎の健康度がわかります。
唾液の分泌量
唾液はお口の中を洗浄したり、細菌の増殖を防いだりする役割を果たしています。
唾液の分泌量が少ないと虫歯になりやすいほか、お口の中が乾燥して口臭の原因にもつながります。
より詳しくお口の中の環境を知りたいと思った方は、かかりつけの歯科医院に相談してみてくださいね。
唾液のPCR検査をするメリットとは?
唾液のPCR検査は、現在虫歯や歯周病になっていない場合も潜在的なリスクを知ることができるんです。
虫歯菌が多い人は歯周病になりにくい、虫歯菌が少ない人は歯周病になりやすい、なんて俗説もあり、菌の種類や量を把握しておくことが将来のお口の疾患のリスクを減らすことに繋がりますよ。
自分自身に合ったケアを選択できる
虫歯・歯周病のなりやすさがわかれば、歯科医院で予防のための処置を受けることができるかもしれません。
虫歯菌が多いなら、虫歯になりやすい奥歯の溝を埋めたり(シーラント)、虫歯になった場合に銀歯でなくセラミックを選択するなどの目安に。
歯周病菌が多いのであれば、定期検診の頻度を早めたり、徹底的な歯磨き指導を受けるなどを決めることができますよ。
患者さん一人ひとりお口の状態は違うため、リスクがわかることで、最も適したケアを選択できるようになるのです。
そのほか、唾液の酸性度が高い場合は間食の頻度を減らしたり、フッ素配合歯磨き粉を使うなどの対策もすることができるようになります。
新型コロナウイルスのPCR検査とは異なります
唾液のPCR検査は、お口の中の状態をデータ化し、虫歯や歯周病などになりやすいかどうかといったことを調べる検査です。
歯科医院の中には新型コロナウイルスのPCR検査を実施しているところもありますが、歯科医院におけるPCR検査は「唾液のPCR検査」を指す場合が多いようです。
「唾液でPCR検査ができる!」とホームページなどに書いてあっても、それはコロナウイルスのPCR検査ではないかもしれません。
よく確認して、受けたいPCR検査を受けるようにしてくださいね。
まとめ
唾液のPCR検査は、公的医療保険が効かない自費診療。
ですが、お口の中の環境を検査し知ることで、より効果的な対策ができることで、その後の治療費が安くすむかもしれません。
また費用に関わらず、お口の中は一生涯付き合うことになるもの。
お口の中の健康のために、唾液のPCR検査を受けてみてくださいね。