三大夏風邪「ヘルパンギーナ」とは?

三大夏風邪「ヘルパンギーナ」とは?

ヘルパンギーナは、エンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群というウイルスが主な原因の感染症です。
コクサッキーウイルスA群は、脂質二重膜(エンベロープ)をもつエンベロープウイルスと脂質性の膜がないノンエンベロープウイルスというものに分類されます。

エンベロープのないノンエンベロープウイルスは、アルコール消毒剤や熱などへの抵抗力が高いことが特徴です。
コクサッキーウイルスA群の他には、ノロウイルスなどがノンエンベロープウイルスに分類されます。

ノンエンベロープウイルスであるコクサッキーウイルスは通常のアルコール消毒が効きにくく、ヘルパンギーナは感染力が強いため、抗体の無い子供が特にかかりやすいです。

ヘルパンギーナは6月から夏にかけて流行します。
5歳以下の乳幼児にかかることが特に多く、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)と合わせて「三大夏風邪」と呼ばれているのです。
子供だけではなく、大人もかかることがあります。

ヘルパンギーナは何度もかかる!

ヘルパンギーナは何度もかかる!

ウイルスに感染した場合、一般的には免疫がつく(抗体ができる)ことで、二度同じ病気にはなりにくいのですが、ヘルパンギーナは何度もかかる可能性があります。

理由として、ヘルパンギーナを引き起こすコクサッキーウイルスA群には、いくつかのウイルスの型があるためです。
一度ヘルパンギーナにかかっても、違う型のウイルスが原因で、再びヘルパンギーナを引き起こすことがあります。

また、子供からヘルパンギーナのウイルスをもらってしまい、保護者がかかることも珍しくありません。
大人がかかると症状が重くなる傾向があります。

保護者の方も、幼少期にかかったことがあるからと安心せず、ヘルパンギーナは何度もかかることがあるという特徴を念頭に置き、子供がかかった時は家庭内で徹底的に感染対策を行いましょう。

ヘルパンギーナの症状は?

ヘルパンギーナの症状は?

ヘルパンギーナにかかると、2〜6日の潜伏期間の後、38〜40℃の高熱が2〜4日間続き、のどが腫れて痛くなります。

また、高熱による熱性けいれん、よだれが多くなったり飲食を受け付けなかったりすることによる脱水症状、その他にも咳や下痢といった症状が出るケースもあるのです。

ヘルパンギーナは口の中の発疹が特徴的

特徴的な症状は、のどのあたりに発疹(水疱)ができるという点。1~5mmほどの小さなプツプツがいくつも発生するのです。

2〜3日で水疱は破れて、黄色っぽい潰瘍になります。高熱が出た場合には、口の中を見ることで、ヘルパンギーナかどうかの判断に役立つでしょう。

口の中に優しく!ヘルパンギーナの対処法

口の中に優しく!ヘルパンギーナの対処法

ヘルパンギーナにかかると、のどに発疹(水疱)ができ、破れると強い痛みを伴うため、食事をするのも大変です。
そのため、食欲不振になることも多々あり、水分補給すら抵抗感があることも。また、下痢を伴う際には、水分補給をためらうこともあるでしょう。

しかし、栄養・水分補給は必須であり、食欲不振で何も摂取しないでいると脱水症状を引き起こすため、余計に体調を崩すことに繋がってしまいます。
のどが痛くて飲み込むのも呼吸をするのも大変という場合には、刺激が少なく、噛まずに飲み込める物で栄養・水分補給を行いましょう。

食事であれば、豆腐、ゼリー、プリンなどの柔らかい固形物を。
飲み物であれば、麦茶や牛乳、冷めたスープなどです。ジュースは刺激が強いので避けた方が良いでしょう。

温度も冷やし過ぎないようにすることがポイントです。
また、ヘルパンギーナのウイルスに対しての抗ウイルス薬はなく、鎮痛解熱剤で対処することが一般的です。

栄養補給を行いしっかり休むことが重要です。
体調を崩した場合には、早めに小児科や内科、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

ヘルパンギーナは感染対策が効果的

ヘルパンギーナは感染対策が効果的

ヘルパンギーナは、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、唾液や鼻水がついた物に手指で触れるなどの接触感染が主な感染経路となっています。
そのため、マスクの着用や手洗いうがい、身の回りの物の消毒を徹底することが、感染対策として効果的です。

便にもウイルスが含まれるため、おむつなどを触った場合、すぐに手洗いをするようにしてください。
症状が回復した後も、2〜4週間ほどは便にウイルスが含まれているため、おむつの扱いには注意が必要です。

また、消毒が効果的ではあるものの、コクサッキーウイルスA群は、通常のアルコール消毒があまり効かないという特徴があります。
そのため、ノロウイルスなどと同様に、次亜塩素酸や、コクサッキーウイルスA群に効果的と言われている酸性エタノールを使用して予防しましょう。

まとめ

子供がかかりやすい夏風邪の一つであるヘルパンギーナ。
高熱が出て、のどに発疹(水疱)ができて痛みを伴うといった症状が見られます。

ヘルパンギーナにかかった場合には、のどの痛みを考慮して、刺激が少なく、噛まずに飲み込めるもので栄養補給・水分補給を行うことが大事です。

また、ヘルパンギーナは飛沫感染・接触感染が主な経路であり、何度も感染し、家庭内で蔓延する可能性がある点に注意しましょう。

熱が下がってから1日以上が経ち、のどの発疹(水疱)がやぶれて潰瘍になったことによる痛みががなくなって普段通りに食事が摂れるようになれば、保育園や幼稚園に登園させても大丈夫といえるでしょう。

登園させてもいい目安に関しては、特に国の基準などはありませんが、早めに小児科などを受診し、医師にも登園の目安を聞いておくと安心でしょう。