知っておきたい口腔がん
がんというと、胃や肺などにできることは多くの方が認識していると思いますが、実はお口の中にもできるのです。
お口の中に発生するがんを総称して「口腔がん」といい、発声した部位によってさらに呼称があり、舌がん・口腔底がん・頬粘膜がん・口唇がん・歯肉がんといった種類があります。
中でも、舌がんの罹患率が最も多いのです。
日本では、毎年約21,000人以上が口腔・咽頭がんを発症し、7,000人以上が亡くなっているというデータも報告されています。
50歳を超えた頃から罹患率・死亡率は上昇し、高齢になるにつれてさらに確率が高くなっているのです。
アメリカ・イギリス・イタリア・フランスなどでは、国を挙げて口腔がん検診を行うなどの対策を行っていることで、口腔がんの死亡率は減少傾向に。
一方、日本では死亡率が増加傾向にあります。
口腔がんの主な2つの原因は飲酒と喫煙
口腔がんの発生要因は明確にはわかっていませんが、飲酒と喫煙が大きく関係していると考えられています。
たばこには発がん物質が約70種類も含まれていて、喫煙者の口腔がんの死亡率は、非喫煙者の約4倍にも及ぶという研究結果もあるのです。
また、過度な飲酒もリスクファクターであるとされていて、飲酒と喫煙の両方の習慣がある方は要注意です。
飲酒と喫煙の他には、虫歯を放置するなどお口の中が不衛生な状態であること、歯の詰め物・被せ物や入れ歯が合わずにお口の中に慢性的に刺激を与えていることなども、口腔がんを発生させる原因とされています。
こんな症状は口腔がんのサイン?
口腔がんの初期では、舌やお口の中の粘膜面に赤みや炎症など、口内炎のような症状が現れる場合が多くあります。
また、しこりや異物感があることも。初期段階では、痛みを感じるケースは少ないと言われていますが、進行していくと痛みや出血があったり、頸部のリンパ節に転移して首にしこりができたりすることもあるのです。
「なかなか治らない口内炎だ」と思いこんだまま放置する患者さんも多くいる他、歯茎の腫れや出血は「歯周炎の症状だ」と考えて歯科医院を受診せず、発見が遅れるケースも。
そうならないためにも、月1回セルフチェックを行い、口腔がんの早期発見につなげましょう。
セルフチェックでは、明るい場所で鏡を使ってお口の中を確認します。入れ歯があれば外してください。
定期的に歯科医院を受診することも大切です。
口腔がんは自分の目で見たり、手で触ったりして発見することが可能な病気です。
以下のいずれかに当てはまる場合には、耳鼻咽喉科もしくはかかりつけの歯科の受診をおすすめします。
■セルフチェックする箇所
・舌全体(付け根・両脇・裏側も)
・上下の唇の内側
・上下の歯茎
・頬の粘膜面
■セルフチェック項目
・治らない口内炎がある(目安2週間以上)
・赤または白の斑点がある
・腫れたり膨らんだりしている箇所がある
・しこりがある
・出血しやすい傷がある
・歯がぐらついている
・しびれや動かしにくいなどの違和感がある
・顎の下や首のあたりが腫れている
口腔がんを予防するために生活習慣の見直しを
進行した口腔がんは、手術で舌や顎の骨を切除するなど、日常生活に大きな支障をきたすケースもあるのです。
予防のためにも、生活習慣を見直してはいかがでしょうか。具体的には、たばこをやめる、お酒を控える、歯磨きを徹底してお口の中を清潔に保つなどです。
また、虫歯があったり、歯の被せ物が取れていたり、入れ歯が合わない場合、口腔がんが発生しやすい口内環境と言えるため、歯科医院で治療を受けることをおすすめします。
その他、バランスの良い食生活や適度な運動も心身の健康に良く、がんにかかりにくい体を作ることにつながるでしょう。
まとめ
飲酒や喫煙が主な原因だと考えられている口腔がん。
日本国内では死亡率が増加傾向にあるため、「たばこがやめられない」「毎日お酒を飲んでしまう」という方は、口腔がんの予防のためにも生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。