歯磨きの目的
そもそも、なぜ毎日歯を磨くのでしょうか?
虫歯も歯周病も、口内にある細菌が増殖することによって引き起こされます。
細菌の塊である歯垢(プラーク)が歯の表面に定着するのを防ぐため、歯を磨いて歯垢を取り除くのが歯磨きの目的です。
歯はいつ磨く?
・起床後
朝に歯を磨くという方は多いと思いますが、「起きてすぐ」と「朝食を食べた後」のどちらのタイミングで磨いていますか?
寝ている間は、口の中の細菌が繁殖しやすい状態にあります。
そのまま朝食を食べると、細菌を体内に取り込むことになってしまいます。
起床したらうがいをするだけでも細菌を減らせます。
可能であれば、朝食前に歯を磨き、食べカスを取り除いておいて朝食をとることが理想的だといえます。
朝食前に磨けなかった場合は、朝食後に磨いて構いません。
・昼食後
昼食後ですが、外出時の歯ブラシの管理が大変ですので、洗口液やキシリトールガムの活用をおすすめします。
昼食後に歯を磨きたい方は、細菌の繁殖を防ぐため、外出用の歯ブラシをしっかりと水洗いし、ティッシュやペーパータオルで拭いて15分程度乾燥させてからしまうようにしましょう。
外出用は特に管理がしにくいため、1ヶ月に1回は歯ブラシを交換するようにしましょう。
・寝る前
人間は夜になると眠りますが、口の中の細菌は活動し続けています。
さらに、就寝中は唾液の分泌量が低下するため、細菌が最も繁殖しやすい時間です。
この状態で歯垢や食べカスが残っていると細菌のエサになってしまいます。
夜寝る前はフロスや歯間ブラシも使って汚れをしっかり取り除きましょう。
食後の歯磨きのタイミングは?
食後30分経過しなければ、口の中の食後30分は歯磨きを避けた方がよい」という方法論が生まれ、歯科の学会でも混乱が起こりました。
しかし、この実験は虫歯ではなく「酸蝕症」という症状のもので、虫歯予防の対策にはそのまま当てはまりません。
通常の場合、食べた後は早めに歯磨きして歯垢や細菌を取り除くことが大切だと考えられます。
公益社団法人 日本小児歯科学会では、このことについて以下のように見解を詳述しています。
食後すぐに歯をみがくと、あたかも歯が溶けてしまうというような報道が新聞やテレビで伝えられたため、現場がやや混乱しているようです。
これらの報道のもととなったのは、実験的に酸性炭酸飲料に歯の象牙質の試験片を90秒間浸した後、口の中にもどしてその後の歯みがき開始時間の違いによる酸の浸透を調べた論文で、むし歯とは異なる「酸蝕症」の実験による見解なのです。
実際の人の口の中では、歯の表面は上記の実験で用いられた象牙質ではなく酸に対する抵抗性がより高いエナメル質によって被われています。 したがって、このような酸性飲料を飲んだとしても、エナメル質への酸の浸透は象牙質よりずっと少なく、さらに唾液が潤っている歯の表面は酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がないかぎり、すぐには歯が溶けないように防御機能が働いています。
つまり、一般的な食事ではこのような酸蝕症は起こりにくいと考えられます。
結論としては、通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。
まとめ
毎日のルーティーンである歯磨きも、タイミングを知っておくとより健康への意識をもちながら行動できます。
さらに、普段の歯磨きに洗口液やデンタルフロスを取り入れることで、口内の衛生環境をより清潔に保てます。
また、定期的に歯科健診を受けて、お口の中をチェックしてもらいましょう。
虫歯や歯周病の初期段階は自覚症状がないので、歯医者さんで診てもらうことは非常に大切です。