肥満とメタボリックシンドロームの違いとは?


メタボリックシンドローム、いわゆるメタボと肥満はどちらも太っている、似た意味に思えますよね。
では、何を基準に肥満とメタボリックシンドロームは診断されているのでしょうか?

肥満とは、体に余分な脂肪がついていることを指します。
「BMI(体格指数、Body Mass Index)」という言葉がよく使われていますが、これは肥満かどうかを判定するための数値になっています。
BMIは[体重(kg)÷身長(m)の2乗]で算出し、結果が18.5以上25未満であれば普通体重とされます。

BMIが25以上で、かつ肥満に起因するような症状が現れた場合は肥満症となります(WHOでは、BMIが30以上で肥満に分類されます)。

一方のメタボリックシンドロームは、体の外側ではなく、腸の周囲など内臓に脂肪が蓄積して高血圧などが併発する状態を指します。
この内臓脂肪型肥満の判定は、へその高さでの腹囲が女性で90cm以上、男性では85cm以上であり、かつ腹部CTによる内臓脂肪の蓄積の有無が診断基準とされています。

脳梗塞や心筋梗塞など、動脈硬化性疾患のリスクを高めるため、注意が必要です。

このように、肥満とメタボリックシンドロームはどちらも脂肪を基準としている点では同じです。
しかし、脂肪の蓄積する場所、腹囲かBMIのどちらを基準に設定するか、高血圧や糖尿病などの健康障害の有無などで診断が異なっています。

歯周病と肥満が相関関係にある可能性


歯周病と糖尿病の関連は以前から指摘されてきましたが、糖尿病の前段階である肥満と歯周病の関連性が初めて報告されたのは、1998年です。
その報告では、20~59歳のサンプルを調べたところ、BMIが高い人ほど歯周病の有病率が高い傾向にあることがわかりました。

BMIが30以上の人は20未満の人に比べて歯周病になる危険度が8.6倍高くなり、さらに体脂肪率が5%上がるごとに歯周病の相対危険度が1.3倍増加したということです。

歯周炎を引き起こす歯周病菌に対して免疫細胞が放出する炎症性サイトカインであるTNF-αを歯周組織に発現させ、歯茎の腫れや歯槽骨吸収を引き起こします。
肥満の人の場合、TNF-αが脂肪組織から多量に分泌されており、これが歯槽骨の吸収を促進する可能性があると言われています。

もしこのようなメカニズムが推測通りだとすれば、肥満が歯周炎を進行させている可能性があります。

また、2019年の研究結果では、肥満も歯周病も「炎症」が共通項となっており、肥満の影響を受けやすい人は歯周病も発生しやすいとする仕組みが示されています。

歯周病の予防だけでなく体重管理にも気をつけて!


歯周病と肥満に相関関係があることを紹介しました。
また、肥満になれば糖尿病にもなりやすくなります。歯周病の悪化は糖尿病患者の血糖値のコントロールを難しくし、逆に糖尿病は歯周病を悪くするリスクを高める可能性があります。

まだ詳しいメカニズムは解明されていませんが、食生活を含む生活習慣の改善は、歯周病の予防のみならず適切な体重管理にもつながります。

肥満や糖尿病などの病気のリスクが気になったら、まずは食事・運動・睡眠など、健康の土台となる生活習慣を見直すことから始めてみるのも良いかもしれません。
そして、定期的に歯医者さんに通院しましょう!