歯周病と後天性免疫不全症候群(AIDS/エイズ)の意外な関係性

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皆さんは歯周病が全身疾患と深く関係している可能性があることをご存知ですか?歯周病はお口の病気ではありますが、糖尿病などあらゆる全身疾患の誘因となる可能性が指摘されています。
ここでは、口腔疾患と全身疾患の関係性をテーマとして、歯周病と関わっている可能性があるHIV感染症、後天性免疫不全症候群(AIDS/エイズ)との関係についてご紹介します。エイズについては性行為や輸血による感染を聞いたことがあるかと思いますが、歯周病とはどのような関係性を指摘されているのでしょうか。

1.エイズを引き起こすHIVについて

免疫力が低下し、普段であれば感染しないような病原体にも感染してあらゆる病気にかかってしまう状態をエイズといいます。エイズを引き起こすのはHIVと呼ばれるウイルスで、Tリンパ球やマクロファージといった、病原体から体を守っている細胞に感染します。その結果、免疫細胞が減ってエイズを引き起こします。
HIVの感染経路は、水平感染と垂直感染があります。水平感染に関しては、性行為による感染が最も多いとされており、そのほかにも輸血などによる血液感染が主な感染経路です。垂直感染で多いのが出産などによる母子感染です。

2.歯周病がHIV感染症を進行させる?

これまでは、HIV感染症が進行することで免疫力が低下し、歯周病の悪化につながることが指摘されていました。それとは反対に、歯周病が悪化することで、HIV感染症を進行させる可能性も浮上しています。
歯周病は、口内に酪酸(らくさん)と呼ばれる物質を作り出します。これがHIVを活性化させることにより、エイズが発症するという指摘があります。つまり、HIVに感染している場合は、歯周病を悪化させてしまうとエイズを発症するリスクがあるかもしれないというのです。

3. 全身疾患の予防にもつながる口腔ケア

歯周病は生活習慣病であり、歯科の2大疾患のひとつです(もう一つは虫歯です)。

進行すれば歯そのものが抜け落ちるという重大な結果をもたらすことはもちろんですが、近年重視されていることのひとつに、全身疾患との関係性が挙げられます。糖尿病や心筋梗塞や誤嚥性肺炎、それに早産・低体重児の出産など、さまざまな疾患の誘因となる可能性があります。
これは、歯周病の原因菌が増殖することで、細菌が気道や血管を通って肺や心臓などに入り込むことためだといわれています。つまり、歯周病を予防して細菌を増やさないようコントロールすることが、全身疾患を未然に防ぐことにつながるのではないかと考えられています。

全身の健康を維持するためには、運動や食事など、さまざまな観点でバランスよく取り組むことが大切です。その中に、歯周病などを予防する口腔ケアも取り入れていただきたいと思います。ご家庭での歯磨きのほか、歯医者さんでチェックや専門的なケアを受けることは、健康維持の側面からも大きな意味をもちます。

歯科医師:古川 雄亮 先生
歯科医師:古川 雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事。

歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0

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