顎や歯、お口の健康と食べ物の関係性について

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近年、子供の顎が小さくなっているといわれています。人間は子供の時期に顎が成長し、乳歯から永久歯に生え変わります。そのとき、顎に十分なスペースがなければ、永久歯がきれいに並びません。お口の機能が発達するには、顎を大きく強くすることが不可欠といえます。

成長著しい時期に顎や歯の健康を気遣った生活を送ることで、大人になってからも長く健康的に使える歯を維持できるようになるかもしれません。

子供の顎の成長を促進するために、どのような工夫をすればよいでしょうか?食生活の視点から顎や歯の発達について説明します。

①成長時期にしっかり噛むことが大事

子供の好きな食べ物といえば、カレーライスやハンバーグが挙げられます。こうした好物に共通しているのは、柔らかく食べやすいということ。しっかり噛まなくてもスムーズに体内へ取り入れられるので、子供たちの体は大きくなります。

その一方で、硬いものを食べる習慣はどんどん減っています。そのためにしっかり噛む機会がなく、子供たちの顎が小さくなっているのではないかといわれています。顎は、しっかり噛んで負荷をかけてあげることで強くなっていきます。柔らかい食べ物がエネルギー吸収には良いとしても、顎が成長せず歯並びを矯正する必要性が出てきてしまってはデメリットも大きくなります。

成長期にしっかり噛むことが、顎の成長には必要不可欠だといえるでしょう。

②洋食が主流になった食文化の歴史

日本の子供の顎が小さくなってきた原因の一つに挙げられているのが、食習慣の変化です。

第二次世界大戦後までは、日本での一般的な家庭での食事といえば、お米や味噌汁のほかに野菜や干物などの魚介類、それに漬物といった歯ごたえのある食品でした。しかし、戦後は小麦の輸入などにより食産業が大きく変化。パンやスパゲティ、カレーライスなど、柔らかくカロリーを摂取しやすい海外の食事が主流になりました。

1971年には、日本マクドナルドの1号店がオープンし、ハンバーガーは若い人たちの間で人気が高まり、こうしたファーストフードも日本の食生活を一変させました。また、戦後に各種原材料の統制が解除されたこともあり、お菓子の種類が多様化されました。せんべいなどの硬い和菓子に代わって、チョコレートやビスケットといった洋菓子の生産が急増しました。さらに、プリンやケーキといったデザートも登場。これらは甘いだけでなく、柔らかくて食べやすいという特徴もあります。硬いお菓子を食べる機会は、だんだん少なくなってきていると言えるでしょう。

子供が口にする食事やお菓子は、時代の経過とともに柔らかいものが増えていきました。硬いものを噛む機会が少なくなり、顎の大きさや強さにも影響しているのではないかと考えられています。

③歯と顎は全身の健康にも関連性があります

顎が小さくなると歯並びが悪くなり、歯を磨きにくくなってしまいます。そうすると虫歯や歯周病にかかりやすくなり、歯の健康を脅かす恐れがあります。

歯や顎の問題は、お口の中だけで完結するものではありません。実は、全身の健康にもつながりがあるのです。

噛むという行為には、食べ物を「すりつぶす」という大事な役割があります。硬い食べ物をしっかりすりつぶすという習慣があると食べ物を消化しやすくなり、体への負担が軽減されます。しかし、現在の柔らかい食べ物が好まれる状況では、すりつぶすための機能が上がりません。顎が強くならなければすりつぶすための力も弱く、飲み込んだ食べ物の消化が悪くなり、胃液の分泌の低下や食中毒を引き起こしやすくなるなどの影響が考えられます。また、噛み合わせの悪い歯並びであることも、食べ物の消化を悪くする一因となります。このほか、発音障害、肩こりや頭痛の原因となる可能性もあるなど、歯並びは全身の健康を考えるうえでも非常に大切なポイントとなります。

④食事に硬いものを取り入れましょう

それでは、子供の顎を鍛えられる食事にはどのようなものがあるのでしょうか?

まず、主食としては柔らかいパンよりお米の方が、歯ですりつぶすのには適していると言えます。また、食物繊維の多い野菜を選ぶのも良いでしょう。切り干し大根やごぼう、れんこんなどしっかり噛める食材が食卓にあると、健康面でも充実します。また、弾力性のあるこんにゃく、干し椎茸、高野豆腐なども、顎を鍛えるのに適しています。

こうした食事をとるときには、1口に30回ほど噛む、そしてゆっくりと噛むことなどを意識すると良いでしょう。

硬い食べ物が良いからといって、あめなどを噛むのはかえって顎にダメージを与える恐れがあります。噛むのに適した食材を選ぶようにしてください。

⑤自分の歯をしっかり使って、いつまでも健康な体に!

子供の時から顎や歯の健康を意識した食事を取ることで、顎が成長するため将来歯並びがきれいになる可能性も高くなります。歯並びの良さは見た目の改善だけでなく、虫歯や歯周病になりにくくします。さらには食べ物を消化しやすくし、内臓への負担を軽減させるメリットもあります。

また、健康上の問題で制限されることなく日常生活を送れる「健康寿命」の長さにも、歯は関係するといわれています。高齢になっても天然歯(自分の歯)が多く残っている人ほど、要介護になりやすい疾患を予防すると考えられています。天然歯は貴重なものなので、子供のうちから歯並びを考慮することは将来の健康維持にもつながります。

歯や顎の健康を考えた食事を習慣づけて、子供の大切な財産でもある歯を守っていきましょう。

歯科医師:古川 雄亮 先生
歯科医師:古川 雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事。

歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0

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