脂肪腫の特徴と発生する原因

脂肪腫とは

脂肪腫は「リポーマ」という別名でも呼ばれる、主に脂肪組織で構成された良性の腫瘍です。
顎、顔面、口の中以外にも、脂肪・筋肉・血管などの軟らかい組織に発生しやすいと言われています。

基本的には痛みは少ないとされていますが、まれに押したら痛みが生じる場合もあります。
大きさは小さいものであれば数ミリほどですが、大きいものの中には、直径が10センチ以上に達するケースも存在します。

口の中に脂肪腫ができる原因とは

脂肪腫は、脂肪細胞が増殖して腫瘍となったものです。
通常であれば成熟した脂肪細胞が増殖することはありませんが脂肪腫約8割に染色体異常が確認されており、遺伝子異常などにより脂肪腫を発症すると考えられています。

脂肪腫発症の詳しい原因は、現時点ではわかりません。
遺伝的な要因以外に、生まれつきの体質、あるいはストレス、肥満、患物理的刺激なども原因だと考えられています。

また、40−60歳代、男性よりも女性、肥満者やアルコール摂取量の多い人が発症しやすいとされています。

脂肪腫と類似した症状に「粉瘤(ふんりゅう)」がある

「粉瘤」とは、角質と皮脂が排出されず、皮膚の下に袋状の構造物を作って形成して大きくなる腫瘍のことを指します。
「アテローマ(アテローム)」という別名を持ち、顔・首・背中・耳の後ろといった部位にできやすいとされています。

粉瘤は脂肪腫と異なり、基本的に症状が悪化すると痛みを伴うことが多いです。治療方法としては、薬の投与や切除です。


脂肪腫ができてから受診するまでのタイミング

腫瘍が大きくなりつつある

脂肪腫はたとえ大きくなるまで放置したとしても命にかかわることはありません。
しかし、腫瘍が大きくなってくると、取り除く際に手術をする時の負担もそれだけ増大してしまいます。

さらに、腫瘍が大きくなってから施術を行うと手術後に残る手術痕が大きくなるというデメリットも存在します。
将来的に傷を目立たなくするためにも、腫瘍が大きくなってきた場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。

腫瘍を押すと痛みを伴う

本来、脂肪腫の発生が痛みを伴うケースは少ないです。
しかし、腫瘍が神経を圧迫した場合は押した時に痛みが出てくることがあります。

特に、「血管脂肪腫」という種類の腫瘍は多発しやすく、神経に近く痛みも生じやすいため、特に注意が必要です。

症状が進めば進むほど施術にかかる負担も増大するため、痛みを感じたら早めに医療機関を受診するのが良いでしょう。

見た目が気になる

脂肪腫は悪性の腫瘍ではないため、早急に受診する必要はありません。
しかし、自然と腫瘍が小さくなっていくこともありません。

腫瘍の見た目が気になるのであれば、なるべく早く施術して除去することをおすすめします。


脂肪腫は治療が必要?治療方法は?

脂肪腫はなるべく早めに治療したほうがいい

腫瘍は自然治癒することはない上に、除去するためには外科手術が必須です。

基本的には脂肪腫に悪性のものはありませんが、極まれに悪性のものが存在しますので注意が必要です(良性・悪性は切除後の病理検査により判明します)。

脂肪腫の治療法について

脂肪腫の除去は、基本的には形成外科、皮膚科、美容外科で手術を行える設備のある病院で行います。
口腔内にできた脂肪腫に限り、口腔外科でも切除手術を受けられます。

脂肪腫を取り除くための施術方法には、脂肪腫の大きさと同じだけ切開を行う「通常手術」と、1−3cmの脂肪腫の剥離・摘出時に最小限の大きさに切り開く「スクイージング手術」の2通りがあります。

具体的な手順としては、エコー検査かMRIで検査を行い、切開範囲をペンでマーキングします。
次に局所麻酔を行い、切開を行って腫瘍を摘出します。腫瘍の摘出が終わったら傷の止血と縫合を行い、最後に抜糸して終了となります。

脂肪腫を取り除く手術であれば大半のケースで入院は必要なく、日帰りでの施術が可能となっています。
また、脂肪腫の除去手術には健康保険が適用されるため、金銭的な負担も少なく治療ができますよ。

まとめ

口の中以外に顔面や背中、肩、首、お尻などの皮膚にしこりができた場合は、脂肪腫かもしれません。
脂肪腫は一般的に良性腫瘍であるため、大きな心配は必要ありませんが数mmの小さいしこりから10cm以上の大きなしこりと大きさが様々で、極まれに悪性の場合も存在します。

脂肪腫を除去するだけで済むことも多く、入院せずに日帰りで施術を受けられるケースが大半です。
しこりの肥大や痛みといった悪化の兆候がみられた場合は、できるだけ早く皮膚科や口腔外科を受診することをおすすめします。